信越化学工業
FY27.3 1Q実績 + 会社予想ベース — SOTP中心 5手法ブレンド v2
Ticker:4063
FY27.3 1Q実績(2026/4-6)と通期予想
連結サマリー
通期予想は据置き水準(営業利益+10.2%)
1Q 売上高
¥6,624億
+5.4%
1Q 営業利益
¥1,737億
+4.2% / OPM 26.2%
1Q 経常利益
¥1,921億
+5.8%
1Q 純利益
¥1,308億
+3.5% / EPS ¥70.39
通期予想OP
¥7,000億
EPS ¥286 / 進捗24.8%
※ 1Q進捗24.8%(FY26は26.3%)。信越は1Q強・4Q弱の季節性があるため、会社予想は保守的とは言えず概ね妥当。残3Qは前年同期比+12.4%が必要で、電子材料の伸長が塩ビの落込みを吸収する前提。
※ 経常利益に受取利息¥148億(年率¥592億)が含まれる。これはネットキャッシュが生む収益であり、PER法とSOTP法の設計上の差の源泉になる(後述)。
※ 経常利益に受取利息¥148億(年率¥592億)が含まれる。これはネットキャッシュが生む収益であり、PER法とSOTP法の設計上の差の源泉になる(後述)。
1Q セグメント別営業利益 — トレンドが正反対
全社調整額 +5億(前年▲3億)
電子材料
¥1,019億
OPM 36.5% / +23%
生活環境基盤(塩ビ)
¥348億
OPM 15.3% / ▲34%
機能材料
¥288億
OPM 24.4% / +20%
加工・商事
¥76億
OPM 20.5% / +8%
※ 電子材料は営業利益構成比59%まで上昇(FY26通期は54%)。AI関連の活況+増量+価格修正。
※ 塩ビは「5月後半にアジアで在庫過多・需要減退により市況変調、価格が下振れ」と明記。2Q以降さらに悪化するリスク。FY25 2,914億 → FY26 1,648億 → FY26 4Q単体は185億(年率740億)。
※ 塩ビは「5月後半にアジアで在庫過多・需要減退により市況変調、価格が下振れ」と明記。2Q以降さらに悪化するリスク。FY25 2,914億 → FY26 1,648億 → FY26 4Q単体は185億(年率740億)。
利益ベースの選択
Cモードの根拠: 塩ビはサイクル事業であり、ボトム利益 × 通常倍率は二重に悲観的な評価になる(v1の構造的欠陥)。Shintechは世界最大・最低コストの塩ビメーカーで、FY25 2,914億/FY26 1,648億/FY27E 1,310億に対しmid-cycleは2,000〜2,500億と推定。Cモードは塩ビ2,200億を置く。逆に、ボトム時はEV/EBIT倍率が構造的に膨らむため、Aモードでは塩ビ倍率をmid-cycle想定(8倍)より高い10倍に設定している。
基本情報
現在株価
発行済株式数(億株)※自己株控除後・2026/6/30
1,984,995,865 − 125,301,104 = 1,859,694,761株
※ 1Qに自己株式取得は実施なし(CF概要「自己株式取得額 −」)。自己株式は128,283,489→125,301,104株と減少(ストックオプション等の処分)。FY26 1Qの¥3,999億取得のような大型枠は現時点で未設定のため、モデルに自社株買い控除は置かない。
※ 潜在株式調整後EPS ¥70.24 vs 基本¥70.39 → 希薄化0.2%。新株予約権¥72億は下記ブリッジで控除。
※ 潜在株式調整後EPS ¥70.24 vs 基本¥70.39 → 希薄化0.2%。新株予約権¥72億は下記ブリッジで控除。
SOTP — セグメント別評価(メイン手法)
EV/EBIT EV/EBITDA
※ 倍率はモード別に独立入力。初期値は両モードで同一の事業価値になるよう較正済み
EV/EBITを主軸とする理由: 信越はFY27の設備投資予想 ¥3,500億 に対し減価償却 ¥2,400億。年間¥1,100億の投資超過が続いており、EBITDA基準は維持更新を超える投資負担を見落とす。特に塩ビは減価償却¥880億/営業利益¥1,310億と資本集約度が極端に高く、EBITDA基準ではShintechの実質収益力を過大に見せる。
電子材料(半導体)
営業利益構成比 59%(1Q)
シリコンウェハー(世界首位)、フォトレジスト、マスクブランクス、合成石英、希土類磁石。1Q 営業利益 1,019億(+23%)、OPM 36.5%。AI関連が活況、それ以外の分野も需要が上向き。増量と価格修正が奏功。
FY27推計 4,200億=1Q実績1,019億をFY26季節性(1Q構成比24.1%)で割戻し4,223億 → 会社予想合計に正規化。
FY27推計 4,200億=1Q実績1,019億をFY26季節性(1Q構成比24.1%)で割戻し4,223億 → 会社予想合計に正規化。
営業利益(億円)
EV/EBIT 倍率
半導体材料フォワード 15-19倍
減価償却費(億円)
FY26実績1,095 / 1Q 253
生活環境基盤材料(塩ビ)
サイクル事業 — 現在ボトム圏
塩化ビニル樹脂(世界首位・Shintech)、苛性ソーダ。1Q 営業利益 348億(▲34%)。全製品の値上げを推進も、5月後半にアジアで在庫過多・需要減退から市況が変調し価格が下振れ。か性ソーダは堅調。
FY27推計 1,310億(1Q年率1,392億から市況悪化を織込み)。mid-cycle推定 2,000〜2,500億 — Cモードは2,200億。
FY27推計 1,310億(1Q年率1,392億から市況悪化を織込み)。mid-cycle推定 2,000〜2,500億 — Cモードは2,200億。
営業利益(億円)
EV/EBIT 倍率
mid-cycle 8倍+ボトム調整
減価償却費(億円)
FY26実績861 / 1Q 212
※ ボトム時はEV/EBIT倍率が分母縮小で構造的に膨らむ。ピアのEV/EBITDA 7-8倍を当てると本セグは¥15,300-17,500億(EV/EBIT 11.7-13.4倍)となり、当モデルの¥13,100億はピア対比でむしろ保守的。塩ビ利益感応度テーブルで幅を確認すること。
機能材料(シリコーン等)
高付加価値シフト進行
シリコーン、希土類磁石、セルロース誘導体、ペリクル。1Q 営業利益 288億(+20%)、OPM 24.4%。高付加価値品群の伸長が軌道に乗り収益改善。値上げ完結。FY27推計 1,190億。
営業利益(億円)
EV/EBIT 倍率
Wacker/Elkem 10-14倍
減価償却費(億円)
FY26実績403 / 1Q 95
加工・商事・技術サービス
安定収益
信越ポリマー、ウェハー関連容器、シリコーン成型品。1Q 営業利益 76億(+8%)。FY27推計 300億。
営業利益(億円)
EV/EBIT 倍率
減価償却費(億円)
全社費用・Equity Valueブリッジ(2026/6/30 実績)
全社費用(億円/年)※負値
FY26 ▲23億 / 1Q FY27 +5億
全社費用 資本化倍率
影響は極小(±0.1%未満)
ネットキャッシュ(億円)
現預金16,542 + 有証18 − 有利子負債2,603
ネットキャッシュ評価率(%)
還流税・機会費用の反映
非事業性資産(億円)
投資その他3,759億のうち政策保有株推定
退職給付に係る負債(億円)
6/30 BS実額(v1は推定300)
新株予約権(億円)※v2で追加
6/30 BS 7,168百万
非支配株主持分(億円)
6/30 BS簿価。利益ベースなら2,500〜3,000
ネットキャッシュ評価率について(v2の中核論点): ネットキャッシュ¥13,957億は時価総額¥107,509億の13.0%。受取利息は年率¥592億=利回り3.6%で、大半がドル建て・海外滞留とみられる。本国還流時の課税と機会費用を踏まえると市場は満額評価しない。
ここがSOTP法とPER法の設計上の差になる。PER法(EPS×倍率)は現金の価値を「利息×PER」でしか織り込まない一方、SOTPは満額加算する。評価率を下げると両者は収斂する。感応度テーブルで確認すること。
非支配株主持分: 1Q非支配株主帰属純利益¥62.8億(年率¥251億)。簿価¥1,862億はROE13.5%相当で、PER10-12倍なら価値は¥2,500-3,000億。保守的に評価するなら2700を入力(株価影響 約▲¥45)。
ここがSOTP法とPER法の設計上の差になる。PER法(EPS×倍率)は現金の価値を「利息×PER」でしか織り込まない一方、SOTPは満額加算する。評価率を下げると両者は収斂する。感応度テーブルで確認すること。
非支配株主持分: 1Q非支配株主帰属純利益¥62.8億(年率¥251億)。簿価¥1,862億はROE13.5%相当で、PER10-12倍なら価値は¥2,500-3,000億。保守的に評価するなら2700を入力(株価影響 約▲¥45)。
Forward PER
FY27予想EPS ¥286。現在の市場は FY27予想PER 20.2倍(FY26実績PERは22.9倍)。信越の過去レンジは概ね18-23倍。FY27予想ROEは11.2%とピーク期(15-20%)から低下しており、20倍台前半が上限圏。フェア 19-22倍(v: 20.5倍)。
FY27予想EPS(円)
適用PER倍率
割引率(%)
割引年数
EV/EBITDA(連結クロスチェック)
FY27 EBITDA = 営業利益 ¥7,000億 + 減価償却 ¥2,400億(会社予想)= ¥9,400億。現在の市場は EV/EBITDA 10.15倍。化学・電子材料ピアのフォワード9-12倍 → 10.5倍基準。SOTPのEBITDA換算値との整合を結果画面で自動照合。
FY27 EBITDA(億円)
7,000 + 2,400
EV/EBITDA 倍率
9-12倍
DCF(投資負担の可視化・Floor検証)
開始はFY27予想(売上¥27,000億・OPM 25.9%)。設備投資¥3,500億 > 減価償却¥2,400億の投資超過がFCFを圧迫する構造をここで反映する(FCF/NOPAT = 0.75)。WACCはPER/PBR法と7.0%に統一(実質無借金のためWACC≒COE = rf1.7% + β0.95×ERP5.5% ≒ 6.9%)。TV依存度が高いのでウェイトは10%に抑制。
開始売上(億円)
売上CAGR(%)
開始OPM(%)
最終年OPM(%)
永続成長率g(%)
FCF/NOPAT比率
投資超過を反映
WACC(%)
年数 / 税率(%)
PBR-ROE(バランスシート錨)
BPS ¥2,447.41(6/30、自己資本¥45,514億)、現PBR 2.36倍。FY27予想ROE 11.2%。
FY27末BPS推計 = 45,514 + 残9か月純利益3,942 − 配当2,158 ≒ ¥47,298億 ÷ 18.60億株 = ¥2,543(年率+5.2%)。残余利益的にはROE11.2%/COE6.9%/g2%で理論PBR 1.88倍だが、市場は2.36倍。フェア 2.2-2.5倍(v: 2.35倍)。
FY27末BPS推計 = 45,514 + 残9か月純利益3,942 − 配当2,158 ≒ ¥47,298億 ÷ 18.60億株 = ¥2,543(年率+5.2%)。残余利益的にはROE11.2%/COE6.9%/g2%で理論PBR 1.88倍だが、市場は2.36倍。フェア 2.2-2.5倍(v: 2.35倍)。
BPS(円)
2026/6/30
BPS成長率(年%)
適用PBR倍率
割引率 / 年数
ブレンドウェイト・判定閾値
① SOTP(%)★メイン
② Forward PER(%)
③ EV/EBITDA(%)
④ DCF(%)
⑤ PBR-ROE(%)
判定閾値(±%)
v1は15%
マルチアプローチ 判定結果
―円
現株価
手法別 ターゲット株価
① SOTP(メイン)
4セグメント別合算
―
② Forward PER
FY27予想EPS×PER
―
③ EV/EBITDA
償却前利益法
―
④ DCF
投資超過反映DCF
―
⑤ PBR-ROE
バランスシート錨
―
ブレンドターゲット株価―
SOTP 計算詳細
| セグメント | 利益 × 倍率 | 事業価値(億円) | EBITDA換算 | 構成比 |
|---|
事業価値合計(Sum of Parts)―
全社費用・資本化―
企業価値(Enterprise Value)―
ネットキャッシュ(+、評価率適用後)―
非事業性資産(+)―
退職給付に係る負債(−)―
新株予約権(−)―
非支配株主持分(−)―
親会社株主帰属 株主価値―
時価総額換算 / SOTP理論株価―
市場価格クロスチェック
現在の市場価格から逆算した織込水準。v1には存在しなかった検算軸。倍率が市場実勢からどれだけ乖離しているかを直接確認できる。
現在時価総額―
コア事業EV(時価総額 −NC +非支配+退職給付+新株予約権 −非事業資産)―
市場が織り込む平均 EV/EBIT―
本モデルSOTP平均 EV/EBIT―
└ EBITDA換算(÷―): モデルSOTP / EV-EBITDA法 / 市場―
現在 EV/EBITDA―
FY26 PER(実績¥253) / FY27 PER―
現在 PBR―
ネットキャッシュ / 時価総額―
市場が正当化するにはSOTP倍率を何%動かす必要があるか―
手法別 計算内訳
| 手法 | 計算式 | ターゲット株価 | ウェイト |
|---|
保守 / 中立 / 楽観 シナリオ
保守 (Bear)
―
―
塩ビ 800億まで悪化・電子材料倍率13.5・他セグ倍率▲15%・PER 17・EV/EBITDA 8.5・PBR 1.95・NC評価率75%・非支配2,700億・DCF WACC8%
中立 (Base)
―
―
入力値(FY27会社予想整合・フォワード較正倍率・NC評価率100%)
楽観 (Bull)
―
―
塩ビ mid-cycle 2,400億回復・AI需要で電子材料20倍・他セグ+15%・PER 24・EV/EBITDA 12.5・PBR 2.8・DCF OPM29%/WACC6.5%
塩ビ(生活環境基盤材料)利益シナリオ感応度 — サイクル検証
塩ビ営業利益の水準変化による影響。倍率・他セグメントは固定。
※ 参考:FY25実績2,914億/FY26実績1,648億/FY26 4Q単体年率740億/FY27 1Q年率1,392億。mid-cycle推定 2,000〜2,500億。
※ 参考:FY25実績2,914億/FY26実績1,648億/FY26 4Q単体年率740億/FY27 1Q年率1,392億。mid-cycle推定 2,000〜2,500億。
| 塩ビ営業利益 | 同セグEV(億) | SOTP株価 | ブレンド株価 | 対現株価 |
|---|
電子材料 倍率 感応度 — 最大ドライバー検証
| 電子材料 EV/EBIT | 同セグEV(億) | SOTP株価 | ブレンド株価 | 対現株価 |
|---|
ネットキャッシュ評価率 感応度 — SOTPとPERの乖離要因
評価率が効くのはSOTP・EV/EBITDA・DCFの3手法(合計70%)。PER法とPBR法には効かない。両手法群の収斂点を探すことで、市場が現金をどう評価しているかを推定できる。
| NC評価率 | 加算額(億) | SOTP株価 | ブレンド株価 | 対現株価 |
|---|
為替感応度(海外売上比率 76% / 会社想定 160円)
営業利益 弾性値(円安1%あたり%)
EPS 弾性値(同)
| 為替変動 | 想定レート | 連結営業利益(億) | ブレンド株価 | 対現株価 |
|---|
SOTP マルチプル 一律感応度 — 「v1の倍率をそのまま使うとどうなるか」検証
| 倍率調整 | SOTP株価 | ブレンド株価 | 対現株価 |
|---|
※ +10%前後がv1の倍率セット(電子18/塩ビ10/機能15/加工10)をFY27予想利益に当てた水準に相当。これが成長の二重計上であることが確認できる。